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白い背中と君の藍
第8章 コーヒー◇優しい気持ち
これから智充先輩の術中に、まんまと嵌っていくとも知らずに――――。

◇ ◇ ◇


先輩の誘導尋問は見事だった。

「恵と飲むの久しぶりだな〜!  先ずは日頃の頑張りを乾杯しよう〜!」

「はい、そうですね……」

確かに『久しぶり』だけど、敢えて強調されると何だか意味深に聞こえてしまう。

「泥酔しても大丈夫だから、ほら飲め飲め!」

「先輩何だか、その言い方オッさんみたいですよ!」

「オッさんって失礼だな!」

陽気に笑って、下らない会話で盛り上がって、休む間も無く次から次へと飲まされる。

「先輩……ピッチ早いです」

「大丈夫だって!  吐きたくなったら吐いちゃいな〜!」

「嫌ですよ!  人様の家で粗相するなんて」

「バァ〜カ!  もっと別に吐きたいことあるだろ恵は」

ドックン!!

先輩のストレートな攻撃に、心臓が停まりそうになる。

チューハイの缶を握ったまま固まっている私に先輩は、自嘲的に微笑んで図星を突いてきた。

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