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白い背中と君の藍
第8章 コーヒー◇優しい気持ち
「絵の具男と何かあったんだろ?」

「――――っ!!」

人前では我慢してたのにアルコールで思考も気力も少し緩んだのか、先輩の押したスイッチに私の涙腺は脆くも決壊していく。

ボタボタと、土砂降りのように涙が落ち始める。

「ひっ……うぅぅぅ……すみま……」

慌てて俯くけど、先輩の部屋の床に大きな水溜りが出来ていき、涙が溢れ落ちる度に雫が撥ねた。

「ずっと一人で抱え込んでたんだろ……恋愛初心者の癖に。ほら、泣きたいだけ泣け!」

先輩はまるで用意でもしていたみたいに、タオルとボックスティッシュを差し出してくれた。

本当に何から何まで、格好良すぎるよ。

「ふぅぅぅぅ〜! ズルいぃぃぃ〜!」

「ははは!  何がだよ!」

笑いながら先輩は、泣き続ける私の頭をずっと優しく撫でてくれた。

こんな不安な時に優しくされたら……

寄りかかってしまいたくなっちゃうじゃない。

まんまと計画を遂行した先輩のズルい優しさに、今日だけ甘えてしまいたくなって……

私は孝秀とのことを全て話していった。

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