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白い背中と君の藍
第8章 コーヒー◇優しい気持ち
「――――孝秀がアパートを出れないって言って、それで私も何も言えなくて飛び出して来ちゃったんです……」

一通り話し終わると、気持ちも落ち着いてきて涙も引いていた。

だけど先輩の顔は物凄く険しくなっている。

「以上……です」

「あのな……恵」

「はい……」

嫌な予感がして、ゴクリと息を飲み込むと

「お前はバカか!  何してんだよ!!」

思った通り怒られた。

言われるとは思ったけど、私の恋愛だし一方的に責められたくもなくて言い訳をしてしまう。

「確かに周りから見たら私は馬鹿かもしれませんけど、それでも孝秀のことが好きなんです!  だから出来ることはしてあげたいんです!」

言い返すと先輩は思いっきり眉間にシワを寄せる。

「絵の具への気持ちは分かったよ……」

「絵の具じゃなくて、孝秀です!」

「奴の名前なんか知るか!  俺が言いたいのはな、自分をもっと大事にしろっ!」

「先輩!?  ちょっ!」

先輩は私の手を力強く握ってサポーターを捲ってきた。

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