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呪いのしるしを、君の体に。
第4章 4

結局、怜央はことりの首筋の痣に気付かないまま
夜中まで彼女の体をむさぼった。
翌朝、怜央のアパートを出るときは
ひりひりと中が痛かったが、それを言うことはできないまま
寮に帰って荷物をまとめて、電車に乗り込んだ。
『迎えに行く』
メールだとそっけない高槻の文字に
ことりは改めて気持ちを引き締めた。
『ぜったいにあの高飛車な態度に屈しない。
100万100万…』
念仏のようにそれを唱えながら
高槻の待つ駅に到着した時には
いつものちょっと無愛想でつっけんどんなことりに戻っていた。
「やあ。よく来てくれたね。遠かったんじゃない?」
「いえ、別に。1時間だけなので」
そっかそっか、と言いながら
さりげなく高槻はことりの荷物を持ち上げると車のトランクへとしまう。
まるで、先日の出来事が嘘だったかのような柔和な笑みと
他愛のない話に、ことりの方が気が抜けてしまった。
『あれ、こないだのって、もしかしてもはや私の妄想だったとか…』
そう思っていると別荘に到着してしまった。
「いらっしゃい。そしてお帰り。
今日からここが君の帰る家だよ」
高槻は玄関のドアを開け、そしてその鍵をことりに渡す。
高原のさわやかな空気を含んだ別荘は静謐で涼やかで
先日のことがやはり夢だったとしか思えなかった。
 

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