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好きにさせて
第16章 現実


「けどなぁ、お父さん
尚が結婚せぇへんかも
思うてたから
子供おらんかっても
お嫁さん来てくれるんやったら
それでもう十分やないの?」


有り難いことに
親父もおかんも
戸惑うてるものの
『反対』してる感じはなく
なんとか受け入れようと
してくれてるみたいやった

そやのに

俺は
もう一つ大事なことを
言わなあかんかった


「それとな」


まだあるんか?

親父は
そんな顔をしていた


「茜の母親は
去年亡くなってな…

おかん覚えてる思うけど
茜の母親は店やってたやろ?」



「うん、そやったねぇ」



「今は茜があの店やりながら
父親と二人で暮らしてんねん。

親父さんは
ちょっと足が悪うて…


茜は

ひとりっ子やねん」



ふーーーっ…



俺は
心の中で
大きく息を吐いた


「俺からの話は

これで
終わりや」



テーブルの上の料理は
どんどん冷めていき

ビールは
どんどん
ぬるくなっていく



親父もおかんの表情も
俺が帰ってきた時とは
まるで別人のようや


決して
反対されてるわけやない


けど


大歓迎されてないことは
伝わってきた




それが


現実なんや
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