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好きにさせて
第16章 現実


「いつでもええから
茜ちゃん連れておいで。
それから茜ちゃんに
久しぶりに会うの
楽しみや言うといてな」


おかんは
帰り際
俺を玄関まで見送り
そう言いながら
微笑んでみせた


きっと腹ん中では
葛藤してるはずやのに
そう言うてくれるのは

ありがたかった



「おぅ、わかった。
茜も喜ぶわ。

ほな」



「うん」



「尚」



「ん?」



「あんたがええ思う人やったら
誰でもええて
前からお父さんいうてたから」


親父もおかんも
最後まで反対してるとは
言わへんかったけど

時折

『ほんまにええんか?』

とか

『心配やなぁ』

と、こぼしてたんが
本音なんやろう


「そうか」


「…うん」



「ごめんなぁ」



「え?」



「結婚待たせた挙句
心配かけて」



「何言うてんの。
あんた一人しか
産まへんかった
おかぁちゃんが悪いねん(笑)」



おかんは
そう言いながら笑ってみせた


そんなおかんを見てると

結婚は
親なんか関係ない
本人同士の問題や

とか思うてた
若い時と違うて

それなりに
責任というか…


重いもんやと
思い知らされた気がした



「ほな…また連絡するわ」



そう言って
実家を後にした俺は
すぐに携帯を確認した


時間は10時を過ぎたところ

茜からのLINEはない





俺は

無性に

茜に会いたくてなってしまった
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