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好きにさせて
第16章 現実
「茜の親父さんも
俺の親も…墓も

全部大事やなぁ…て。

もちろん
茜と別れるつもりは
ないんやで?

今でも結婚したい思うてるし
とにかく一生離れへんことは
決めてる。

せやから
悲しい顔せんと
聞いて欲しいねんけど」



「うん」



「俺と茜二人で
背負っていくもん多いなぁ…て
正直感じてな
俺らが
死んでからのことまで
考えなあかんのやな…て」


「……」


「茜はもうとっくに
気づいてたんよなぁ

せやから
あんなに結婚のこと
悩んでたんやろ?」


茜は
小さくうなずいて見せた


「今頃気づいて…
ほんまごめんな?(苦笑)」



「ううん…」



「なんや…なんやな…」


「ん?」



「色んなこと
分かってきたらな…」



「うん」



「子供がおらんいうことより
兄弟おらんことが
今はなんや…

悔しいわ」



「…うん

わかるよ…

私も
ひとりっ子じゃなかったらって
何度も考えたこと
あるから…」



「そぉか…」



「うん」



「若い時は親も若かって
そんなこと
考えてなかったんやけどな…」


「…うん」


茜は
母親がおらんから
尚更やろう


「茜?」


「ん?」


「色々あって
大変そうやいうのは
分かったけど

けど俺は
茜とおるからな?

というか…」



「ん?」



「俺と

別れたりせんとってくれな…」



「そんな…」



茜は
ちょっと驚いた顔をして
それからすぐに
目を潤ませながら
俺を軽く小突いた



「大丈夫。
別れてくれって言われても
別れないから」


涙いっぱいの目で
イタズラに笑う茜は

最高に
ええ女やと思った


と同時に

なんで今日
俺が凹んでしもうたんか
理由がわかった気がした







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