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第4章 第４章 『池田優美（いけだゆみ)』〜私立Ｓ大学医学部２年生〜

私の家は、父が循環器内科の専門病院を、大学時代の同期生と共同経営している。

父は元々、信濃町にあるＫ大医学部の講師をしていたけれど、準教授や教授への道が閉ざされたと感じたらしく、私が小学生の時、大学病院を退職し、同じ診療科の医局の同期生と後輩を誘って、循環器内科の専門病院を東京のおとなりＳ県のＴ市に開業した。

心臓に関しては夜間救急外来診療も行っている、病床数は200程度小さな専門病院なので、副院長兼診療部長の肩書きにありながら、若い医師たちと、ほぼ平等に当直勤務もこなし、父だけで年間100近い、心カテーテル術を行い、心筋梗塞のなどで救急搬送された患者さんの命を救っている。

残念ながら、あくまで内科医だから、もっと大きな心疾患をもつ患者さんの、心臓バイパス手術などはできない。

あくまで、Ｘ線で造影しながら、内股の動脈から心臓近くの動脈まで針を通し、ステントを入れて動脈瘤をなどで狭くなった血管を広げる内科術を専門とする医師だ。