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孤城の中のお姫様
第2章 山川静香(やまかわしずか)〜都内有名私立大文学部4年年〜
私が父親の地元の本宅に逃避していた夏休み…。

私は一日中外出もせずに、テレビを観たり、CS放送で映画を観たりして、無意味な毎日を送っていた。

食事は、地元秘書の山本さんの奥様が来て、世話してくれるから何の不自由もない。

地元の本宅は、純日本家屋。洋室なんて、キッチンと食堂くらいで、あとは、柱と襖に囲まれた、田舎風の天井がやけに高い、畳の12帖間ばかり。

一階は、襖を取り払って、冠婚葬祭から、支援者を招いて会合や宴会ができるようになっていた。

私が篭っていた部屋は2階で、12帖間が4部屋、田の字に柱と襖だけで仕切られている片隅の1部屋だった。掛け軸の飾られた床の間があり、違い棚には、骨董品の陶器がいくつか飾られていた。2階もやっぱり天井が高い。

外から見ても、この家は東京だったら3階建てくらいの高さがあるのではないかと思われるような大きさだった。

その2階の隅の和室に、私の万年床と1台のテレビ。

私は、夜、この違和感に満ちた空間が怖くて寝られず、テレビばかり見て、昼間に寝るという、完全に昼夜逆転の生活を送っていた。

田舎で、市街地までは遠く、周囲は田畑と農家しかなく、外はなんの刺激もない。私はCS放送がなければ、窒息してしまいそうだった。

それでも東京には戻りたくなかった。
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