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孤城の中のお姫様
第2章 山川静香(やまかわしずか)〜都内有名私立大文学部4年年〜
相沢圭司の言う通りだった。

私は公人の、とりわけ国会議員の娘であるという自覚に欠けていた。

そして、その欠如は親に対する反発心や不信感から由来していることは、自分でもわかっていた。

何しろ、予備校での個別指導の夏期講習を突然辞めて、ここに逃れて来たのもそれが原因だったから…。

「静香さんはこれからどうしたいですか?ご自分の人生のことです。素直に自分を振り返ってみてください。」

「希望の大学には行きたい…でも、勉強させられるんじゃなくて、自分で勉強して、AO入試もセンター試験も一般入試もチャレンジしたい。学校のお友達みたいに…。」

「そうですか…じゃあそのお気持ちは、後で奥様に私からもお伝えしますが、静香さんからもお話しするんですよ。」

「その時は相沢も一緒にいてくれる?」

「私の時間がある時なら、喜んで静香さんを支援しますよ。」

「でも、相沢はお父様やお母様の言いなりじゃないっ!」

「それは私の職務上必要なことを、お父様もお母様も私にご命じになっているからです。私的な部分は、時々ご意見をさせていただいてますよ。」

「私がこれから言うことも、聞いてくれる?」

「私の職務上しなければならないことなら…お伺いしますが…ここにいることは許されません。」

「やっぱり、そこに戻るのね。」

「ご理解いただいけませんか?」

「嫌っ!絶対に動かないっ!」

相沢圭司と私の会話は、どこまでも平行線を辿った。
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