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孤城の中のお姫様
第3章 植松藍子(うえまつあいこ)〜東京私立S女子大2年生〜
旧華族家は戦後、現行の日本国憲法の下に解体された。

だから、名前だけ残っていても、没落した家はいっぱいある。

私の家も一回曾祖父の代に没落して、東京のお屋敷を失った。

それから、祖父が会社経営を始めて、高度成長期に家を再興させた。今は東京M区に自宅があり、私は大学に自宅通学している。

父は祖父の興こした商社を引き継ぎ、今は、木材を輸入販売する商社の代表取締役をしている。

父母、兄と姉の五人家族。

兄は国立H橋大学経済学部を卒業して銀行に勤めているが、やがて父の会社を継ぐことになるだろう。

姉と私は1つ違いの年子で、幼稚園、小学校から大学まで同じ学校に通ってきている。今、大学では学科も同じだ。

中学生くらいから、顔も体型もだんだん似通ってきて、その頃から双子に勘違いされることが度々あった。
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