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孤城の中のお姫様
第3章 植松藍子(うえまつあいこ)〜東京私立S女子大2年生〜
「じゃあ、清さん。倉田先生が来年からお父様の会社にお勤めになるのね?」

「そうかもしれない。決まったのかは、わからないけれど。…だとしたら、私たち、来年になっても倉田先生とお会いできる機会が残るのよ。藍さんも倉田先生とお別れとお別れするのは嫌でしょ?」

「うん。それで、明日ここに倉田先生をお呼びしたのはなんで?」

「それは、私と藍さんが倉田先生とプライベートで過ごせるチャンスだと思って…。」

「藍さんは嫌?」

「そんなことないわ。清さん、でも倉田先生をどうやって、ここにお呼びできたの?」

「それはね。私たちが家族でこちらに来ているから、春休みの温泉とお食事…それからお勉強もだけど、先生もこちらにどうぞって私、お父様の伝言だって嘘ついたの。明日は予定なら英語のお勉強の日でしょ。先生からどうするのかお電話があったから。」

「じゃあ、お父様もお母様もいないのに倉田先生が、ここにお泊りを?」

「そう。藍さん、これからのことも含めて、誰にも内緒にしなければならない秘密よ。あとは私に任せてくれる?」

姉の清さんは、一計を案じていたようだった。

私は姉の清さんに従うことにした。なにより倉田先生に逢いたくて…。
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