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第59章 桜の香りに包まれて

「えっ……？」


あたしだと思った？

あたしだと思ったからあんな風に抱きしめたの？


「この桜の香りで、莉愛菜だと思った。……寝惚けててあまり覚えてないが、そう思ってたから起きて隣にあの女がいてかなり混乱した。」


桜の香りはあたしの香り。

海斗様がそうした。

その香りを嗅いだ海斗様はあたしだと思って抱き寄せた。

あんなに大事そうに、愛しそうに……


あたしは海斗様に向き合うように座り、自分から海斗様の唇に自分の唇を重ねた。

啄ばむようなキスをする。

自分から舌を入れた。

海斗様はあたしの舌をすんなりと受け入れ、背中に腕を回しあたしの舌の動きを追っては吸いつき絡んでくる。

しばらくキスをして離れると、海斗様は驚いた顔でこちらを見ていた。

「莉愛菜が自分から俺にキスするとはな。」

驚きながらも、どこか嬉しそう。

あたしは海斗様に言った。


「海斗様……抱いてください。」