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莉愛菜と彼の主従関係~専属奴隷契約~
第76章 存在意義
誰もいない屋上で、雨に打たれて独り、考える。
誰もいない。
一人ぼっち。
最初に目覚めた時はいた、大切な人たち。
それが今はいない。
ほら、だからね。
思った通りだった。
それが当たり前。
これが普通なの。
ママ、そうなんだよ。
あたしは患者さんが着るゴワゴワした生地の部屋着を雨で濡らしながら実感する。
これから先、あたしはどうやって笑ったらいいのかな?
今までは無条件に笑っていられた。
なにも知らなかったから、忘れていたから。
そして何より
大好きな人が傍にいてくれたから。
「かい、と……」
あたしの声は小さく掠れて、雨の音にかき消される。
ママ、ごめんね
あたし、ママの願いさえ叶えてあげられない
ママのたった一つの願いさえ
そのまま地面にペタリと座り込む。
フェンスを掴んでその先を見渡せば、この世界で独り閉じ込められているような気分になった。