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第4章 4

決めつけるような言い方に反感を覚えるが、『良薬は口に苦し』という言葉を思いながらそれらを手に取り目を通す。

「自然な出会いを期待するのはやめよう」「悪い男ほど自然に近づいてくる」「身体を許すのは一ヶ月を過ぎてから」
痛々しい言葉の数々に心が折れそうになる。
いっそ隣に置いてある『女性のための愛されセックス』という本にしようかと心が揺らぐ。
『駄目っ……』
伸ばしかけた手を引っ込め、『いつかは結婚できると思い込んでるあなたへ』を握り締めてレジへ向かう。
それはあからさまなタイトルや表紙の官能小説を買うより恥ずかしかった。
『あら？　あなたいつかは結婚できると思い込んでいたの？　お気の毒に』
カバーをかけてもらう間も書店員の心の声を妄想し、居たたまれない気持ちになる。
しかしこれは戒めだ。
惨めな気持ちこそ向上に繋がる。
そう信じ、彼女は粛々と御祓を受け入れていた。