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第5章 5

「少なくとも海藤さんは体の相性だとか結婚は非科学的だなんて言う人間じゃありませんから……」

意固地になったあやみは恨みがましくそう呟いた。

「あやみちゃんって非科学論者？」
「常識的なだけです。そもそもその科学も怪しいもんじゃないですか」

いつもの貝塚のペースに嵌められそうで、あやみはキッと目付きを鋭くし、気を引き締める。

「まあそれはいいとして……独立するとかいかにも詐欺師の言いそうなことじゃない？」
「それはっ……」

ふざけた話から急に論点が戻り、あやみは口ごもった。

「きっとそのうちお金を貸して欲しいとか言い出すよ、そいつ」

貝塚は穢らわしそうに眉を潜めた。

「よく聞くよね、そういう話」

自分も想像していた展開だが、人に言われるとなぜか心で反発する気持ちが生まれる。