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恋こころ
第3章 幸せな誓いを
「結婚、ねぇ……」
黒のスリーピースのスーツ姿で顔を歪めて笑うのは俺の兄貴。
何年も連絡を取ってない両親は何処にいるのかも分からないし、今さら会いたくもない。俺側の参列者は兄貴だけだ。
さっきは控え室で二人しかいないのを良い事に、携帯灰皿で煙草を吸おうとしやがって一発殴っておいた。
「何だよ」
「イヤ、良かったなぁと思って」
言葉とは裏腹、右だけ口角を上げて笑う様は本当に堅気な人間か疑わしい。似てるらしい無駄に整った笑顔が癇に触る。
あんな極悪面に似たくない。
「お前と真純ちゃんとなら、ああはならないんじゃねえの」
真純の名前を口にして柔らかくなった表情に何とも言えない気分になる。
「なる訳ないだろ。あんな奴らと一緒にするな」
未だに女への不信感を抱き続けている兄貴は相当女癖が悪い。
今朝も迷惑なぐらい早い時間にキツい女物の香水の匂いをさせながら、漸く姿を見せやがった。即風呂にぶち込んで洗わせたけど。
新潟から仕事終わりにこっちに来る間にどうやったらそんな事になるんだか。お蔭で一晩兄貴からの連絡を待っていた俺は、真純と俺の結婚式だと言うのに寝不足だっつーの。
黒のスリーピースのスーツ姿で顔を歪めて笑うのは俺の兄貴。
何年も連絡を取ってない両親は何処にいるのかも分からないし、今さら会いたくもない。俺側の参列者は兄貴だけだ。
さっきは控え室で二人しかいないのを良い事に、携帯灰皿で煙草を吸おうとしやがって一発殴っておいた。
「何だよ」
「イヤ、良かったなぁと思って」
言葉とは裏腹、右だけ口角を上げて笑う様は本当に堅気な人間か疑わしい。似てるらしい無駄に整った笑顔が癇に触る。
あんな極悪面に似たくない。
「お前と真純ちゃんとなら、ああはならないんじゃねえの」
真純の名前を口にして柔らかくなった表情に何とも言えない気分になる。
「なる訳ないだろ。あんな奴らと一緒にするな」
未だに女への不信感を抱き続けている兄貴は相当女癖が悪い。
今朝も迷惑なぐらい早い時間にキツい女物の香水の匂いをさせながら、漸く姿を見せやがった。即風呂にぶち込んで洗わせたけど。
新潟から仕事終わりにこっちに来る間にどうやったらそんな事になるんだか。お蔭で一晩兄貴からの連絡を待っていた俺は、真純と俺の結婚式だと言うのに寝不足だっつーの。