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星と僕たちのあいだに
第10章 揺らぐ鬼火
 
玄関ドアの開く音がして、麻衣は慌てて涙をふいた。

『甘いもの食べませんか?
 シュークリーム買ってきました』

玄関でコンビニの袋を掲げ、滝沢はにこりと笑った。

『いただきます。
 すごく、食べたかったんです』

場のくもりを拭い去ろうとするような滝沢の笑顔に、麻衣は精一杯の声を尽くした。

『そりゃ、よかった』

滝沢は、麻衣の涙目に気づいていたが、あえてそれにはふれず、そっと直樹を抱き取るとソファに寝かせた。

『コーヒー淹れます。
 掛けてて下さい』

ポケットのものをカウンターに出して、キッチンへ行こうとする滝沢を麻衣が呼び止めた。

『滝沢さん。
 さっきのお話、私、嬉しかったです。
 ありがとうございます』

ぺこりとお辞儀した麻衣に、滝沢はキッチンの入り口に行きかけた体を麻衣に向けた。

『私、体に問題があって、
 子供を産めないんです。
 わかったのは一年ぐらい前です。
 そのあと、婚約は破談になりました。
 今は、それを理解して
 おつきあいして下さる男性と、
 一緒に暮らしています。
 籍は入れていませんが、
 結婚の約束をしました』

言葉を選びながら話す麻衣を、滝沢は引き締まった表情で見つめていた。

『でも、私は色んなことに自信がなくて……。
 子供を産めないということが、
 私には、とても大きな引け目なんです。
 何事もその劣等感が優先してしまって、
 好きな男性であっても、
 恋愛に尻ごみしてしまうんです』

滝沢は、黙ってうなずいた。
しっかり聴かなければならない。真剣そのものだった。


 
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