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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第21章 来世の、来世で

……ユキといると、いつもの景色が明るく見えるのはどうしてかな。


まるで雲の上を歩いているみたいにフワフワして

吹き抜ける風が、私の体を浮かせるみたいに心地良くて


太陽も、空も、空気も、何もかもを

まるで魔法使いのように、彼が自由自在に操っている気がする。



「春ちゃん、真っ直ぐ歩けてないよ」



海に夕陽がキラキラと反射し始めた夕刻。

カフェのテラス席から繋がった、砂浜を進む私の少し後ろから

ユキが声をかけてきた。


「飲んでないのに、酔っ払ってる人みたいなんだけど」

「だって、砂浜にヒールが持ってかれちゃって。
歩きにくい~」

「危ないから、ちょっと一旦止まって」


左右に揺れる私の肩に手を置いて、引き留めるユキ。

27歳にもなるアラサー女なのに、随所で女の子扱いしてくれるから

楽しくて、嬉しくて、自然と頬が緩んでしまう。


……私

こんなに笑ったの、久しぶりだ。




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