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BLACK WOLF~crime~
第5章 兎ノ涙
口から漏れるのは、黒埼さんを喜ばせるだけの言葉たち。

そこには口答えも罵声も見当たらない。

ただ、必死に黒埼さんへの愛を叫ぶ獣の姿があるだけだった。



最早、理性の欠片も見当たらない。




「舞…」

「あぁあああぁっ!あっ━━━━━━んぅっ!んぐっ!!」

私の唇を塞ぐように黒埼さんの唇が重なった。

私の言葉を食い止めるかのように、熱く深い、舌を絡ませるような口付け。

「舞…」

「んっ、んうぅぅ…はん、ふっ」

時折漏れる吐息と私の名前を呼ぶ黒埼さんの声。

もう、脳がトロトロに溶けてしまいそう。



「お前は俺のものだ。他の誰のものでもない。俺だけのもの」




…その台詞が鼓膜を刺激する。

けれど、その台詞が何を意味するのか私にはわかっていた。




本来なら、心を溶かす最高の台詞だ。

愛する人に囁かれればこれほど嬉しいことはない台詞。

しかし、私は違う。




別れを告げたはずの恋人。

またこうやって強引に、力ずくで良いようにされてしまうだけ。

恋人じゃない、そんな扱いじゃない。

愛があるから戻って来たんじゃない。





快楽という拷問を楽しみ、私を追い詰めて楽しんで、思い通りに操ってるだけだ。













「━━━━━━んっ、やっぱお前の中は最高だな。…絡み付くみたいに受け入れてくれる」

「あっ、あぁぁぁんっ」

腕と足を解放してもらい、地上に降り立った後、力が抜けて動けない私を抱えてベッドに寝かせて

正常位の状態で黒埼さんが私の中へと入り込んできた。

既に黒埼さんのモノを受け入れる余裕もないのに…。



「あんっ、あぁっ!!」

「それに、お前の表情はいつ見ても…っ」



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