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BLACK WOLF~crime~
第6章 時ノ悪戯


プルルルル…

プルルルル…


呼び出し音が耳に響く。

待ってるこの時間が…、とてつもなく長く感じる。



プルルルル…

プルルルル…



黒埼さん、今仕事中かも知れない。

もしかして大事な会議中かも知れない。



プルルルル…

プルルルル…

プルル━━━━━━『…はい』



「あっ…、も、もしもしっ!?」



暫くコールした後、黒埼さんが電話に出てくれた。

出てくれないか、と思ってた矢先に聞こえた黒埼さんの声に思わず心臓がドキッと跳ねた。

久しぶりに受話器越しに聞いた黒埼さんの声。

相変わらず低くて色っぽい声…。



『どうした?何か用か?』

「ああああの、すいません…、お仕事中に…っ!今大丈夫、ですか?」

『大丈夫だ。お前から電話なんて珍しいな』




…確かにそうだ。

私から黒埼さんにかけるなんていつ以来だろう。


「あ、あの…」

どうしよう…。

さっきまで聞きたいことはいっぱいあったのに、いざ黒埼さんの声を聞くと頭が真っ白になってしまった。

ハルちゃんがいなくなった焦りと心配と、黒埼さんの声を聞いたせいの緊張。

早く話さなきゃ。

黒埼さんだって暇じゃないんだから…っ。


『何かあったのか?』

「あの…っ」


ぐずぐずしてる暇はない。

こうしてる間にも時間は過ぎていく。

こうしてる間にもハルちゃんに危険が迫ってるかも知れない。



早く

早く…っ!




「━━━ハ、ハルちゃんがいなくなったんですっ!黒埼さん、何か知りませんかっ?」

『…ハルちゃん?』




黒埼さんの声が一瞬、ワントーン低くなった。

ハルちゃんの名前を出しただけで不機嫌になってしまったのだ。

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