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BLACK WOLF~crime~
第6章 時ノ悪戯

「あ、そうだ。警察に着いたらいろいろ話さなきゃならないから…これ飲んで」

そう言うと、桜木さんは目の前のエアコンの送風口に取り付けられたドリンクホルダーに置いてあったペットボトルのカフェオレを私に勧めてくれた。

あ、そう言えば…、緊張しすぎて喉がカラカラだし、こんな慌てた状態じゃ警察でもちゃんと喋れないかも。

「買ったはいいけど甘過ぎて…、俺は基本ブラックしか飲めないから」

「あ、ありがとうございます…」

「他に陽人君が行きそうな場所に心当たりはないの?」


ペットボトルのキャップを開けて甘いカフェオレをゴクッと飲見ながら桜木さんの質問に耳を傾けた。

…ハルちゃんが行きそうな場所。

上京してからは会社の付き合いでよく飲みに行くとは言ってたけど、飲み屋さんに何日も居座る人じゃないし、仲のいい友人や上司の話もそんなに聞かないし。

「…わかりません」

「そっか…。やっぱ警察の人に任せる方がいいかも…」


でも、もしかしたら、本当にただどこかで遊び過ぎて連絡を忘れてるだけかも。

私達の取り越し苦労で、どこかで元気に過ごしてるかも知れない。


「もう1度電話してみますっ!」

鞄から携帯を取り出して発信履歴からハルちゃんの名前を見つける。


…警察に着く前にハルちゃんの声でも聞ければ安心出来る。

せめて安否ぐらいわかれば、少しは心が軽くなる。



運転してくれてる桜木さんの隣で携帯を耳に当てると


プルルルル…、プルルルル…、プルルルル…


お願い、出てよハルちゃん…っ。

せめて、声だけでも聞かせて…

生きててよ、ハルちゃん…っ!






プルルルル…、プルルルル…、プルルルル…、プルルルル…、プルルルル…


━♪~♪………………………♪━








あれ…?









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