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BLACK WOLF~crime~
第6章 時ノ悪戯


アパートの階段を桜木さんと共に駆け降りる。

足が縺れそうになりながらも、とにかく桜木さんの車まで急いだ。


桜木さんは、何の関係もない私とハルちゃんの為に一生懸命になってくれてる。

黒埼さんなんか、もう知らない。




先日、私をアパートまで送ってくれた際に停車した公園近くに桜木さんの車が駐車してあった。

さすがに都心と離れた閑静な住宅街なだけあってこんなところに路駐しても誰も何も言ってこないだろう。

慌てながらも私は助手席に乗り込んだ。

桜木さんも運転席に乗り込みドアを閉めるとすぐにブルンッとエンジンをかけた。

「シートベルト付けてね。ちょっと飛ばすよっ」

「はい…」

道路脇に駐車してた車が動き出す。


アパートを出てからずっと、私はハルちゃんの無事だけを祈っていた。

今にも泣き出しそうな心を抱えて、ハルちゃんへの謝罪の気持ちでいっぱいだった。


ハルちゃん、大丈夫だよね…?

もしもの事になってないよね…?

また笑って会えるよね…?

ハルちゃん…っ。




「大丈夫。陽人君はきっと無事だよ」

「……っ」

「相沢さんが信じてあげなきゃ…」



胸を締め付けられるような不安で泣きそうになってた心を解きほぐしてくれたのは桜木さんの声。

桜木さんの優しい声が私をハッとさせてくれた。

桜木さんも、少なからず心配してくれてるんだ…。



そうだよ…。

私だけでもハルちゃんの無事を信じなくちゃ、誰が信じるの?

ハルちゃんはきっと無事だ。

きっとどこかで生きてるはず…。

桜木さんの言う通り、私が信じなくちゃ。

ハルちゃんを…。


涙が滲んでた瞳をグッと拭い自らを奮い立たせる。

絶対に私がハルちゃんを見つけ出すんだ、と。







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