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BLACK WOLF~crime~
第10章 最後ノ恋

ハンドルに両肘を着き、前屈みになりながらあの鋭い目線で私を見つめている。


っていうか、そんな目で見ないでよ…。

あんな台詞を吐いた後に見つめないでよ…。

黒埼さんの瞳に見つめられたら、心臓の高鳴りが止まらなくなる。



「返事は?」

「え?あの…」



返事?

返事って、さっきのプロポーズ…?

返事って、言われても…。

「き、急にそんな事言われても…っ」


在り来たりな台詞が口から出て来た。

テレビドラマなんかでプロポーズされた女性が吐くお決まりの戸惑いの台詞。

そんな出来すぎた台詞が咄嗟に出て来るわけないってずっと思ってたけど、どうやら私も例に漏れず…のようだ。

思わず口を突いてしまったのだ。



あたふたする私をずっと見つめてる黒埼さん。

その視線から逃げるように顔を反らしたが…、黒埼さんの視線が突き刺さるのがわかる。

「急に?」

「だって…、そうじゃないですかっ。さっきまで説明会に行けとか何とか言ってたのに…、急に、そんな…、結婚なんて…っ」

さっきまでパンフレットを渡して、学校丸ごと買収したとか何とか言ってたのに。

言ってることとやってることが違い過ぎるよ…。


「急にじゃない。ずっと考えてた。お前の何もかもを欲しいと思って何が悪い?」

「な、何もかもって…?」

「法律でお前を縛れるんだ。俺はずっとそうしたいと思ってた」


…黒埼さんの結婚に対するイメージってそんなのなんだ。

法律で私を縛るって、何だかロマンチックなイメージじゃない。

結婚って、そんなものじゃないんだろうけど…。


「結婚って、もっとこう…」

「仕事から帰ればお前がいる。眠るときも目覚めたときも、お前の笑った顔を見ていられる。そんな夢みたいな生活、悪くねぇだろ?」








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