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BLACK WOLF~crime~
第4章 海ノ魚

…桜木さんと、桜木さんのお父さんかな?

もしそうだとしたら、凄く素敵な写真だな。


抱っこされてる男の子は4歳ぐらいだけど凄くいい笑顔だし、抱っこしてるお父さんも幸せそうな笑顔。

風景はちゃんと写ってないけど、どっかのテーマパークかな?

私も、お父さんが生きてたらあんな写真撮れたかな…?

いろんなところへ行って、いろんな写真を撮って、あんな笑顔しながら写真を…。



和やかな気持ちで写真を見つめてると



「それは親父。一緒に写ってるのは俺」

「あ…」

マグカップを2つ持った桜木さんがリビングに戻ってきた。

マグカップを持ちながら私の側まで歩みよりマグカップを1つ、私に差し出してくれた。

中身は温かそうなホットミルク。

「あ、すいません」

「親父と動物園に行った時の写真」

やっぱり桜木さんのお父さんだったんだ。

素敵な笑顔だな。

「お父さんと仲良いんですね。今でも仲良しですか?」

「…親父は俺が6歳の時に亡くなったんだ。その後すぐに母親も病気で」


……っ。

少し寂しそうな笑顔を浮かべて、その写真を眺めた桜木さん。

私は悲しいことを思い出させてしまった罪悪感を感じて口をつぐんだ。

「あ…、ごめんなさい」

「あはは、いいよ!もう独り暮らしにも慣れちゃったし」


桜木さんはご両親を亡くされてるのに、こうして1人で頑張ってる。

こうやって爽やかな笑顔で私や周りの人を和ませてる。

私も職場でどれほど救われたかわからない。


「私も両親を亡くしてるんです。でも私は桜木さんみたいに強くないですけど…」

黒埼さんやハルちゃんに甘えて助けられて、自分の将来についてすらちゃんと考えられてない。

桜木さんと違って、私は全然ダメだ。

全然成長出来てない。







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