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BLACK WOLF~crime~
第4章 海ノ魚
「そんなことないよ!相沢さん、仕事も一生懸命だったしいつも笑顔で頑張ってたじゃん。俺は相沢さんは頑張ってると思うよ」

「あはは、ありがとうございます」

お世辞とわかってても桜木さんに褒められると何だか嬉しい。



…そうだよね。

ハルちゃんも言ってたけど、結局は自分で決めなきゃならないんだ。

これからのことも、将来のことも。

答えを出せるのは自分しかいないのだから。



「さて、俺はシャワーを浴びたら仕事に行くけど相沢さんは好きなだけいればいいよ」

「あ…そんな…、ミルクを飲んだらすぐに帰ります」

「それはいいけど、黒埼さんは?」


…あ、そうだった。

今アパートに帰ったら黒埼さんがいるかも知れないんだ。

どうせ今顔を合わせたところで口論になるのはわかってる。


「頃合いを見計らって帰った方がいいよ。別にいつまでいてくれても構わないから」

そんな訳にもいかない。

独り暮らしで恋人もいないみたいだけど、いつまでもご厄介になるのは気が引ける。

そんな私の目に入った、写真やテレビが並ぶ棚のすぐ横に置かれた固定電話。


「……あの、じゃぁ、お電話お借りしていいですか?」

「どうぞ。この部屋のものは好きに使って。暇ならそこの棚に映画のDVDもあるから見てくれていいよ」

"ありがとうございます"の変わりに軽く会釈をすると桜木さんは軽く片手を上げてリビングを出て行った。



リビングのドアが閉まり桜木さんの姿が見えなくなったのを確認して受話器を取り

ハルちゃんの携帯に電話をかけた。

ハルちゃんが先に東京へ上京した時に、実家の電話からハルちゃんの携帯によく電話をかけてたから

ハルちゃんの携帯番号は指が覚えてしまってる。



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