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BLACK WOLF~crime~
第4章 海ノ魚
アパートで眠れなかったぶん、桜木さんの部屋で眠れてスッキリしたはずなのに、夢の中でまで考え事ばかりして疲れが取れてないみたいだ。

ふらついた私を支えてくれた桜木さんの腕。

ハルちゃんや黒埼さんの腕と違って太くて逞しい。

「その体じゃ無理だよ」

「大丈夫です。帰ってやらなきゃならないこともありますから」

…職を探したりハルちゃんに電話したり、私にはやらなきゃならないことが山のようにある。

黒埼さんとのこともちゃんと考えなきゃならない。


「だったら家まで送るよ。ちょうどコンビニに晩飯買いに行きたいから」

「いえ、これ以上お世話になるわけには…」

「ここまで来て何遠慮してんの?何か相沢さんって…妹みたいでほっとけないんだよね」

子供のような照れ笑いを浮かべた桜木さんの笑顔が可愛くて、私は遠慮する台詞を忘れてしまった。


確かに、まだ頭がボーッとしてるし、帰宅途中に倒れでもしたらそれこそいろんな人に迷惑がかかる。

正直そこまで甘えていいものかどうか…。

でも、1人で帰れる自信もないし。

「俺、車回して来るから外で待ってて。と、その前に着替えなきゃな」

桜木さんの優しさが心に染みる。

ずっと強張ってた心が軽くなって行く。

…ハルちゃんによく似た、暖かな陽だまりのような雰囲気。

ハルちゃんみたいで懐かしい。














桜木さんに言われた通りマンションの外で待っていると、正面道路に桜木さんの乗った車が到着した。

白のセダンの車。

「お待たせ。はい、乗って」


私は桜木さんの言葉に甘えることにした。

アパートまで桜木さんの車で送ってもらうことになった。

今日は何から何まで桜木さんに甘えっぱなしだ。

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