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快楽の奴隷
第10章 幻のいる間
「んフッ!? ンンッ!!」

その刺激で花純は再びもがき始める。
純粋に指で弾かれるのが痛かったこともあるが、それよりも大きな理由があった。
高梨は今までそんなことをしたことがないからだ。

相手が高梨と思うからこそ甘蝕に身を任せていたが、もし相手が違うならば大変なことだ。
快楽なんかではなく、これはただのレイプになってしまう。

派手に暴れると男の胸元から嗅ぎ馴れないシトラス系の香水の匂いがした。

『この匂いは高梨さんのものじゃないっ!!』

花純は一瞬で青ざめ、恐怖で心が凍った。

両足をとにかく出鱈目に振り回し、相手が怯んだ隙に逃げようと立ち上がる。
しかしマスクの男は花純の腹部にしがみつき、そのまま軽々と持ち上げてしまう。

『やだっ!! 助けてっ!! 高梨さんっ!!』

必死に叫んでも声は出ない。
たとえ声が出たところで、防音設備のいいこの部屋では大して響くものではなかった。

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