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快楽の奴隷
第11章 文士と絵師
仕事を終えて帰宅した花純はマンションのドアを開ける。
住み始めて1ヶ月。
ようやくここが自分の住まいであると、落ち着きと愛着を感じ始めていた。

「ん?」

部屋の中に薔薇の香りが漂っていた。
この前のように高梨がいきなり現れてレイプごっこをしようとしてるのではないかと花純は身構えた。
しかしそれは杞憂に終わる。

「よう、お帰り」

奥から飄々と高梨が顔を出した。

「どうしたんですか、急に?」
「好きな人の顔を見に来るのは一般的なんじゃなかったのか?」

かつての花純の台詞を言って高梨が笑った。

「うん。もちろん、来てもらって嬉しいですけど」

なんか釈然としない気分だった。
以前に比べればだいぶ心を開いてきた高梨ではあるが、素直に会いたいから来るなんていうこと言うとは思えない。

そんな違和感を感じている時、部屋のインターフォンがなった。
マンションの玄関のものではなく、部屋の前のインターフォンの音だった。



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