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快楽の奴隷
第11章 文士と絵師
「そうはいかないッス。やはり幻野先生の小説に立山先生の表紙絵を希望してるファンは多いんスから」
「表紙絵っ!?」

花純はその言葉で記憶が呼び覚まされる。
高梨の小説の表紙を頻繁に担当しているイラストレーターの名前が立山劔だったことを。

「お、俺のことも知っててくれたのか? 嬉しいねぇ」

立山は笑顔でさえも肉食獣のように獰猛さがある。

「はい。いつも作品を一枚の絵で表現されてて凄いって感動させてもらってます」

目を輝かせる花純の横顔を高梨は不快そうに見ていた。

「そういう訳だから諦めて俺に任せろ」

花純の頭をポンポンと撫でながら立山は高梨に告げる。

「今回は写真なんだよ。作品の主な舞台となる湖畔のロッジの写真。悪いけど降りてくれ」

立山の手を花純から払いながら、高梨は凄んだ目で睨んだ。
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