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快楽の奴隷
第12章 『嗤う人形』
高梨のことを知れば知るほど、花純は惹かれていく。
時には恥知らずな性交に泣きそうなこともあるし、気分が乗らないという理由だけで会ってくれない時もある。
しかしそれらも含めて自由な雲のように掴み所がなく、不確かな存在の高梨という男に、花純はどうしようもなく惹かれてしまう。
高梨のことであればどんな些細なことでも知りたかった。
あまり自分を語りたがらない高梨は、あれこれ質問をされることを嫌う。
露骨に嫌な顔をされようが花純はしつこく高梨に質問をしていた。

また彼は昔の写真などというものもほとんど持っていない。
どんな幼少期だったのかも、花純には興味深いことだった。
人を好きになるというのは、相手のことをもっと知りたい、理解したいと思うことなのかもしれない。
昔の恋人のことでさえ、花純は知りたいと願っていた。

しかしそんな花純でも唯一聞けないことがあった。
聞けないというよりは、聞きたくないこと、といった方が正しい。
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