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快楽の奴隷
第12章 『嗤う人形』
それは高梨の作品で最大のベストセラー作、『嗤(わら)う人形』のことであった。
以前一度だけ執事の曽根がいるときにその話題になったことがあったが、高梨は怒ったように話題を切り上げてしまった。
それ以来、花純は一度もその話題には触れていない。
それは別に高梨を怒らせるからではない。
彼女が知りたくなかったからであった。
『ロマンスは書けない』と語っていた高梨だが、この作品だけは蕩けるほどに甘いロマンスに溢れている。
世間一般には官能小説ではなく、過激な描写のあるラブロマンスという捉え方をされているくらいであった。
正直花純はこの作品に、嫉妬していた。
彼女にとって『嗤う人形』は、高校時代に幻野イルマを知るきっかけとなった大切な作品である。
もちろん高梨と知り合う前は彼女も幻野イルマ作品でもっとも好きな作品の一つとして数えていた。
しかしこうして高梨と身体を重ね、自分との体験が彼の刺激となり、創作の糧となった今は『嗤う人形』は不気味な存在として映っていた。
以前一度だけ執事の曽根がいるときにその話題になったことがあったが、高梨は怒ったように話題を切り上げてしまった。
それ以来、花純は一度もその話題には触れていない。
それは別に高梨を怒らせるからではない。
彼女が知りたくなかったからであった。
『ロマンスは書けない』と語っていた高梨だが、この作品だけは蕩けるほどに甘いロマンスに溢れている。
世間一般には官能小説ではなく、過激な描写のあるラブロマンスという捉え方をされているくらいであった。
正直花純はこの作品に、嫉妬していた。
彼女にとって『嗤う人形』は、高校時代に幻野イルマを知るきっかけとなった大切な作品である。
もちろん高梨と知り合う前は彼女も幻野イルマ作品でもっとも好きな作品の一つとして数えていた。
しかしこうして高梨と身体を重ね、自分との体験が彼の刺激となり、創作の糧となった今は『嗤う人形』は不気味な存在として映っていた。