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美しい狼
第16章 さ迷う羊
「そろそろ帰りましょうか?
 私、楽しくて
 つい飲み過ぎてしまったみたい」

「夏目さん、顔真っ赤だ
 そうですね、帰りましょう」

お店を出て
歩いていたら
足元がフラついてしまって
光太郎さんに支えて
もらってしまいました

「ごごめんなさい!私、やっぱり
 飲み過ぎですね…」

「夏目さん、このまま
 帰したくない…って言ったら
 どうします」

「えっ…」

突然
私は
力強い腕の中に
引き寄せられて
唇を奪われてしまいました

お酒で熱くなった身体と
溶けてしまった脳みそでは
すぐに抵抗できなくて

光太郎さんの
熱い舌の進入を許してしまったのです

「ンッ…ンン………ァッ…ヤァ///」

ガクンと力が抜け
座り込んでしまいました

「ごめん、夏目さん…
 あなたが、あまりにも無防備で
 可愛くて……
 お酒の力に頼って
 こんなことしちゃイケないの
 分かってるけど
 我慢出来なかった
 
 僕も男だから
 好きな人に触れたいんだ

 このまま君を
 力付くで奪うことだって出来るんだよ

 僕を選びなよ……」

思考が付いてかない
優しい優しい光太郎さん
なのに
キスの激しさに
ドキドキしてる

でも
私が欲しいのは…………

「光太郎さんも酔ったのね
 今日は、2人ともお酒に飲まれちゃったね
 さぁ、お屋敷に帰りましょう!
 明日は二日酔いで大変だー!」

私は
お酒のせいにして
全部なかったことにしました

あと一杯
飲んでたら

私は
要様を忘れることが
できていたのかもしれません
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