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美しい狼
第4章 不器用な狼
このお屋敷の良いところは
広いだけあって
誰にも
気を使わず
思いっきり泣けるとこです。

身売りされた
現実は
やっぱり甘くない

泣き疲れて
空を見上げると
いつの間にか
夕焼け空になっていました
身体は冷え切って
氷のように冷たくなっています。

「やっと見つけた…
 初日から
 仕事放棄とは
 良い身分だな」

「要様…
 私を探してくださったのですか?」

「勘違いするなよ。
 俺のこのひろーい屋敷で遭難でもされたら
 こっちが迷惑だからな」

「申し訳ございません。お仕事に戻ります…」

「俺の召使いは
 お前だけだ
 俺専属として
 側に置いてるのは
 爺とお前だけ
 俺は、信用してるやつしか
 側に置かない

 お前は、俺のものだし
 お前の意思など関係ない
 ただ
 俺についてこればいい
 
 だけど…
 側近がへそを曲げて仕事を放棄するなんて
 本末転倒だからな
 
 お前の話も
 少しは聞いてやる」

そう言って
カーディガンを掛けてくださいました。
そのとき、一瞬だけ私の身体に触れ
強く抱き寄せてくれたのです。

「かっ要様!!何をなさるのですか!!」

「うるさい黙ってろ。
 お前を熱くさせるのなんて簡単だからな」

唇を急に奪われ
先ほどのイヤラシイ光景がフラッシュバックします。

「んんっ!!」

激しく甘いキスに心を奪われていると、
スルスルと要様の右手が、私の腰からお尻へと降りていき
メイド服の裾を捲り上げ、下着の中へと差し込まれたのです。
直にお尻を揉みしだかれ、嫌というほど要様の体温を感じさせられます。
際どい所を何度も何度も揉まれて、私の足はガクガクと震え
もう立っていられません。

「芯から熱くなっただろ?」

熱を含んだ要様の瞳が、悪戯っ子のように細められ
ゆっくりと身体を離すと
颯爽とお屋敷の中へと入っていかれたのでした。

私は、熱くなりすぎた身体を自分で抱きしめ
要様の言葉を思い出します。

どうやら
奴隷から召使へと
昇格のようです

信用されているのなら
その期待に応えるしかないじゃないですか!
なぜ
会ったばかりの私を
信用してくださるのかは謎ですが…

要様の不器用な優しさに
甘酸っぱい感情で満たされ
一生、要様にお仕えしようと心に決めたのでありました。
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