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揺れる恋 めぐる愛
第6章 宣告と告白
「どうやっても逃れられないなら……

いい加減に覚悟しようかと思う。

だから、お前ももうこっちだけ見ろ。

俺の方に……

向いてくれ」

私の肩を掴み、顎に手をかけ顔を自分の方に向けさせようとする……

その強引な動きに抗うように身体を捩じってみても

所詮男の力にはかなわず、お互い対峙せざる終えない状況にさせられた。

お互い強い感情を宿す視線が間近で絡み合う。

瞳を探るように覗き込まれ、

「今、ここにいるのは誰だ?

あの男なのか?

違うだろう??

いつまでもいつまでもお前を捨てたやつの事で、

後ろばかり振り返って苦しむのはやめろ。

俺なら……

いや、俺と居てくれ」

「……」

私は首を何度も横に振り続けるだけで、何も言えなくなった。

主任の言いたいことはもっともで……

わかっている……

今私の手の届くそばにいるのは先輩ではなく主任で……

それでも私にとっては本当はそこにいて欲しいのは

先輩のはずだった。

それすらいない時間が長く続く間に心の隙間に入ってきた主任の存在を

否定できない自分が、心底嫌だった。


目の前で起こっていることが受け入れられない私と、

それ以上問いただそうとしない主任。

主任は結局その時私に答えを求めなかった。

二人は何も話さないままただ車に乗ったままで、

そのまま、車にエンジンをかけ……

私を家まで送ってくれた。

そして、黙ったまま車を降りる私を

切ない目で穴が開くほどただ見つめるだけだった。
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