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第19章 決戦

「ああ。あれね、周りを納得させる為の嘘」

石井はケラケラと笑いながら話し出す。

「私とこの人、大学からの同期でね。赴任先もここで一緒なったから、色々相談受けてたのよ～」

「石井先生…その辺で…」

ばつが悪そうに、佐田は石井を止めるが、石井は気にせずに笑い続けた。

「…まあ、そんな事なんで、俺は止める権利無いんだよ」

でもまあ、と佐田は続ける。

「誤魔化したり、すぐ別れるとかは言うようなら、それなりの対応はさせて貰ったがね」

ニカっと、笑う佐田に、大河は呆然とした顔で問いかける。

「じゃあ…僕は…」

「ま、今回は状況が状況だったし。これは俺と石井先生の中に閉まっておくよ」

その言葉に、舞奈と大河は顔をあわせてほっとした。

「ありがとうございます…」

大河は深々と頭を下げ、お礼を言う。

「ありがとうございます！」

舞奈も続けて、頭を下げた。

(良かった…)

舞奈は、大河の処分が無いことに心から安堵し、少し涙ぐむ。

舞奈は、それを手で拭い、顔を上げた。

佐田は、笑い顔をやめ、真剣な表情に戻る。

「まあ、な。教師だ生徒だと言っても結局は人間だ。どうしても止められない事がある。けどな、ちゃんとけじめはつける事。山村先生は教師として、綾部を贔屓したりせずに、学校ではちゃんと一人の生徒として、接する事を約束してください」

その言葉に、大河は真っ直ぐに佐田を見詰め、頷く。

「はい。それはこれからも変わらずに、ちゃんとさせて頂きます」

その言葉に、佐田はうむ、と満足そうに頷く。