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第20章 戻ってきた日常

運転席に座り、車のエンジンをかける由美に、舞奈は声をかける。

「先生に何言ったの？」

既に助手席に座っていた舞奈は、二人の会話が気になっていたため、聞かずにはいられなかった。

由美は、車をUターンさせながら、答える。

「昨日のお礼言っただけだよ」

そっか、と舞奈は納得し、シートに背をあすげる。

「でも、思ったよりあんたが落ち着いてて良かったよ。流石に心配したからね」

「うん。心配かけてごめん」

舞奈が謝ると、由美は前を向いたまま苦笑する。

「なんであんたが謝んの。でもまあ、これから気を付けなね」

うん、と舞奈は頷き、ふと疑問に思った事を口にした。

「そう言えば、なんで先生は啓ちゃん連絡先知ってたの？」

由美は、ん～？と言いながら答える。

「あんたがうちに泊まった日の夜、彼氏さんが店に来て、マスターと兄さんに連れ出したお詫びしたらしいよ。んで、なんかあったらって、二人で連絡先交換したんだって」

「そうだったんだ…」

舞奈はあれ以来、エゴイストに顔を出していなかった事を思いだし、考えればマスターに迷惑かけたな…と思った。

(文化祭終わったら、私もマスターに謝りにいかなきゃ…)

随分失礼な事をしたなぁ…と舞奈は反省する。