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その瞳に…
第24章 嫌悪と恐怖
舞奈は後ろを振り返らず、前だけを見て、『エゴイスト』まで全力疾走する。

とにかくそこまでいけば、啓介やマスターかいる為、安全を確保出来る。

あまり運動が得意では無い舞奈は、直ぐに息切れを起こすが、それでも立ち止まったりせず、『エゴイスト』に急いだ。

持久力の限界が近づいて来る頃、やっと『エゴイスト』が見えてきて、そこには調度出勤してきた啓介がいた。

「啓ちゃん!?」

舞奈は大声で啓介の名を叫ぶと、啓介は舞奈に気づき手を上げた。

「舞奈、どうし…」

笑顔で舞奈に声をかける啓介に、舞奈は抱き付く。

そんな舞奈の異変に気がついた啓介は、周りを見回し、異変が無い事を確認すると、舞奈を抱き締めたまま、直ぐに裏口から店に入った。

スタッフルームに入ると、啓介はすでにいたスタッフに、少し席を外すようお願いする。

スタッフ達は、舞奈を見て異変を察し、スタッフルームから出ていく。

「舞奈。もう誰もいないから、大丈夫だよ」

啓介は優しく声をかけるが、舞奈は抱き付いて離れなかった。

小さく震える舞奈の体と、自分の胸元が少し湿ってくるのを感じた啓介は、舞奈の背中を撫でながら、そのまま優しく抱き締めた。

どれくらいそうしてたかは解らないが、舞奈はやっと少し落ち着き、啓介から体を離す。

啓介は離れた舞奈の目が、涙のせいで腫れてるのを確認した。

「店からお手拭きと、何か飲み物持ってくるから、座ってて」

頭を優しく撫でる啓介に、舞奈はコクンと頷き、近くにあるイスに座った。

それを確認した啓介は、スタッフルームから出ていく。


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