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その瞳に…
第25章 初めての訪問
 「得意と言う程ではないけど、これでも一人暮らしは長いしね。あと、成滝が不精していると煩くて、ある程度覚えさせられたんだ」

 料理人の成滝からすれば、食事を疎かにする事は侮辱にあたるのだろう。

 何故か、成滝が煩く大河に料理を指導する姿が思い浮かび、舞奈はつい笑いを零す。

 大河はその笑いに、少し不満げな表情を浮かべるも、チャーハンを乗せたお皿をカウンターに乗せる。

 舞奈がそれを机に運ぶと、大河はスープを持ってリビングへ出てきた。

 「有り合わせの物だけど、まぁ、普通に食べられると思うよ」

 そう言う大河に、舞奈はいただきますと手を合わせ、チャーハンを口に運ぶ。

 「美味しい!先生、すっごく美味しいです」

 舞奈も両親がいない時は自分でご飯を作ったりするが、いつもチャーハンはべっちゃっとして美味しくない。

 けれど、大河の作ったチャーハンは、ご飯がしっかりパラパラしていて、こげた醤油の香ばしさが食欲を増幅させる。

 舞奈は大河の作ったチャーハンを夢中になって、口に運んだ。

 そんな舞奈を、大河は嬉しそうに見つめる。

 「口にあったようで嬉しいよ」

 大河はそういいながら、チャーハンを口に運んだ。

 食事を終えると、舞奈は片づけを買ってでて、キッチンで洗い物をする。

 大河はソファーに座り、パソコンを触り始めていた。

 (なんか、新婚さんみたい・・・)

 自分で言ったことに照れながら、舞奈は使った食器を片付ける。

 「先生、片付け終わりました」

 舞奈がリビングへ戻ると、大河はパソコンから顔を上げ、蓋を閉じる。

 「学校のお仕事ですか?」

 舞奈は閉じられたパソコンが気になり、大河に聞く。

 「そう。だから君は見たら駄目だよ」

 大河はずれた眼鏡を戻しながら、笑う。

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