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その瞳に…
第25章 初めての訪問
 県内の進学校に通う生徒が、東京大学や京都大学を目指す為に通う進学塾の名前を聞き、舞奈は驚き振り向く。

 「そう。僕はそこで3年働いて、大学の教授の勧めで、雪音の臨時になったんだよ」

 そんなレベルの高い所で教えていたのなら、大河の授業が解りやすく人気があるのも頷ける。

 「でも、そしたらうちの学校だとレベル落ちるから、先生としては遣り辛くないですか?」

 ふとした舞奈の疑問に、大河はクスっと笑いを漏らす。

 「そんな事はないよ。化学が苦手な生徒に、解るように教えて、好きになってもらえるのであれば、教師としてそれ以上の遣り甲斐はないからね」

 その言葉と微笑みに、大河がどれだけ今の仕事に誇りを持っているのかがわかり、舞奈はそんな大河を尊敬し、自然と笑みが漏れる。

 「私も化学苦手だったんですけど、先生に教わってから、楽しくてもっと色々知りたいと思いました」

 その言葉に、大河は嬉しそうに笑い、舞奈の頭にキスをする。

 「それはとても嬉しいね。教師冥利に尽きるよ」

 クスクスと笑う大河の吐息が、耳を掠めくすぐったさに舞奈はきゅっと体を縮める。

 「・・・それで、恋人の事だけれど」

 その言葉に、舞奈はギクっと体を強張らせ、大河の腕に触れていた手に力が入る。

 その反応に、大河は優しく舞奈に問いかける。

 「どうする?全部聞きたい?」

 舞奈は体を強張らせながらも、力強く頷く。

 「先生の全部が知りたいんです。私なら大丈夫です。・・・お願いします」

 その真っ直ぐな回答に、大河はフっと笑いを漏らし、口を開いた。

 「恋人は、今まで三人いた。・・・けれど、彼女達とは普通のセックスしかしたことはない」

 その言葉に、舞奈はえ?と思い後ろを振り返ると、大河は苦笑した表情を浮かべていた。
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