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その瞳に…
第28章 大人の対応
 「そういえば先生。私、今日は普通にしてて大丈夫なんですか?」

 あの後、シャワーを浴び制服に着替えた舞奈は、大河が昨夜買ってきてくれていたサンドウィッチを食べながら、ふと疑問に思った事を口にした。

 「ん?ああ、そうだね」

 机をはさんで舞奈の前に座っている大河も、スーツに身を包み、コーヒーを飲みながらその問いにあっさりと答えを返した。

 昨日、大河は今日にならないと解らないけれど、多分大丈夫と言っていた。

 その言葉は信頼しているが、それでも不安は残る。

 出来ればその訳を聞きたい為に、舞奈は大河に問いかけた。

 「あの・・・どうして、もう大丈夫なんですか?」

 少し不安げな舞奈の表情を見て、大河は持っていたマグカップを机に置き、ニコリと笑みを零す。

 「朝は大丈夫だろうから、もし帰りにアレが駅に居て、舞奈を狙っているようなら、知り合いにちょっとした対応をお願いしたんだ。もう、二度と舞奈に近づかない様にお願いする為にね」

 優しい口調で、舞奈に話す大河だがその目は笑っておらず、舞奈は恐怖で少しだけ鳥肌がたった。

 「あの・・・危ないこと、じゃないです、よね?」

 恐る恐る問いかける舞奈に、大河は更に微笑む。

 「大丈夫。誰も捕まるような事なんてしないから」

 サラリと答えられ、舞奈は冷や汗をかく。

 (何するんだろう・・・)

 けれど、その先を聞いてはいけないような気がし、舞奈は無理やり納得する事にした。

 「ああ、後。成滝の店の外で会った女性を覚えてるかい?」

 いきなり話が飛んだ舞奈は、一瞬理解するのが遅れたが、大河の言った女性をなんとか思い出す。

 「あの、レストランの裏で会った、とても綺麗な女性、たしか、早百合さんでしたっけ?」

 そう、と大河は頷く。

 「今日は君の護衛みたいなのを頼んであるから、放課後駅で彼女から君に声をかけてくると思う」
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