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その瞳に…
第28章 大人の対応
 「いえ、私からあの人を見たんですから、早百合さんのせいじゃありませんよ」

 実際、舞奈は渡辺に対して危機感をあまり持たずに、注意もせず反射的に渡辺を確認し、恐怖に陥った為自業自得なのだ。

 「でも、山村さんや成滝にも、貴女があまり怖がらない様に気をつけてと言われていたのに・・・」

 「いえ!もう大丈夫ですから、ホントに!!」

 余りにも申し訳なさそうな表情を浮かべる早百合に、舞奈はもうなんとも無いとわかるように精一杯笑顔を向ける。

 「そう・・・?なら、取り敢えず彼への対策をとってしまうわね」

 そう言った早百合は、スマホを取りだすと、誰かに素早くメッセージを送った。

 しばらくすると、早百合のスマホが短く鳴り、それを確かめた早百合は、舞奈に向かってニコリと微笑む。

 「今、彼を連れ出してくれる子達から了解の連絡を貰ったわ。・・・また少し辛い思いをするかもしれないけれど、少しだけ彼を見てくれる?」

 舞奈はこれから何が起こるか疑問に思ったが、早百合の言葉に素直に従い、渡辺をまたこっそりと見つめた。

 すると、見慣れない制服をきた女の子が2名渡辺に話しかけているのが見えた。

 顔は見えないが、少しだけ明るめに髪を染めた女子高生達は渡辺の体に触れながら、積極的に話しかけていた。

 渡辺は始めのうち、その子達に邪険そうな態度でいたが、両腕を絡めながら話しかける女の子達に、そのうち気を許したのか、少し遠めから見ても解るほど、満面の笑みを浮かべて話を聞き始めていた。

 5分ほどしただろうか、駅から舞奈達がいる場所とは別の入り口から二人に腕を絡められながら渡辺が出てきた。

 舞奈は、渡辺達が出てくる瞬間、早百合の影に隠れ渡辺から見られないようにしたが、既に渡辺は二人に夢中になっており、舞奈の事など忘れたかのように、デレデレの表情で近くの駐車場まで二人と一緒に近くの駐車場へ消えていった。

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