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その瞳に…
第1章 出逢い
「舞奈~帰んの?一緒に帰らね?」

教室を出ると後ろから声をかけられる。

始業式の時、舞奈に話しかけていた友人、絵麻が教室のドアから顔を出していた。

「ごめん、いちお部室に顔出すから先帰ってて~」

「華道部?なんかあんの?」

「夏休み終わりに来て生けた花とか処分しにね」

「うわっ!めんど!じゃ、しょうがないから明日ね~」

「うん、バイバイ」

 絵麻にバイバイし、舞奈は華道部の部室に向かう。

「綾部、部室に行くのか?」

「田中先生。はい、そうで、す・・・」

 職員室の前で声を掛けられ振り替えると、年配の男性教室の田中と、その横には大河がいた。

 舞奈は先ほどの気まずさがあり、大河と視線を合わせ無いように、少しうつ向く。

 (あんな事あった後じゃ、まともに山村先生の顔見れないよ!っていうか、早く立ち去ろう!)


「花が枯れて大変だと思うので、すぐ捨てたいので、失礼します!」

 なんとなく日本語がおかしいとは思ったが、舞奈はとにかくこの塲を離れたかったため、挨拶もそこそこに立ち去ろうとした。が。


「丁度良かった。岩谷先生の代わりに華道部の副顧問として山村先生がなるから、部室に案内して上げてくれ。じゃあ、山村先生。綾部頼むな」


「え?ちょっ!田中先生!?」

 舞奈が呼び止めても田中は聞こえて無いのか、さっさと職員室に入っていってしまう。

 (マジで!?)

 頭が混乱している所に、大河が声をかける、

「えーと、綾部、さん?」

「えっ!あっ!はい!」

(あ、やばっ)

急に名前を呼ばれ、舞奈はとっさに顔を上げたため、大河を直視してしまった。

「綾部、何さんかな?」

「え?あ、綾部舞奈、です」

「綾部舞奈、か・・・じゃあ、案内よろしく、綾部さん」

 舞奈の名前を確認した時の、意地の悪そうな低い声と、口は笑っているが冷たい視線が舞奈の体をまた、熱くさせた。

 舞奈はその瞬間、あそこがジュワっと濡れたのを感じた。
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