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その瞳に…
第2章 二人きり
 雪音高校は文化部用の部室棟があり、舞奈の所属する華道部は、人気が無いため最上階、三階の一番端にある。

しかも、始業式の日の為、今三階にいるのは舞奈と大河だけになる。

「田中先生は、三階に行くのが嫌だから綾部さん案内を頼んだのかな?」

「それはあると思います。田中先生けっこう年ですし」

 二人は他愛も無い話しをしながら、部室へ向かう。

 先程見た顔は気のせいかと思うほど、大河はニコニコと笑っていた。

 だか、舞奈の体は火照ったままだった。

(会うなんて思わなかったから、クリップそのままだよ・・・ヤバい、声だけでイキそう・・・)

 舞奈は背が低い為、並んで歩けば大河の顔は見ずにすんだ。

 しかし、大河の低い声が舞奈の耳を掠める度、体が疼くのを感じる。

 (こんな事、初めて・・・)

「あの、ここが部室です」

鍵を開け、中に入る。

むわっと、熱気と花が枯れかけた匂いがした。

「ここに生けてる花、ダメになってるので捨てちゃうので、先生は戻って大丈夫ですから」

 大河と離れ、一人になって体を鎮めたかった舞奈は、大河に戻って貰うように促す。が。

「いや、ついでだから手伝うよ」

と、大河は一緒になって、生けてある花を剣山からはずし始めた。

舞奈は観念し、ならば早く済まそうと作業に取りかかるが、大河が気になってしょうがない。

こっそりと舞奈は大河の手を見る。

大きい手に、スラリとのびた指先が器用に花を、剣山から抜き取る。

(あの手に、触って欲しい・・・先生の声で、あの手で恥ずかしめて欲しい・・・)

 舞奈は作業の手が止まっている事にも気が付かない位に、大河の手を見つめていた。

 「綾部さん?」

 「あっ!やっ!…ひゃん!」

 突然、大河に肩を触れられ、それに体がビクッと反応する。

 その反応で、クリトリスに着けていたクリップが外れてしまった為、舞奈は軽くイッてしまった。

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