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その瞳に…
第29章 大人と子供
 車はアパートのすぐ下に止めてあり、調度人通りも無くすんなり乗り込む事が出来た。

 車が走り出してすぐ、舞奈はどうして急に大河が泊まりの提案をしたのか気になり、問いかけるが、大河はそれを『家に着いてからね』と言い、その話題はすぐに終わってしまった。

 舞奈はそんな事を言われると、なんとなく渡辺の事なども聞きづらくなってしまい、結局大河の家に着くまで、二人は無言でいた。

 「お邪魔します」

 家に着くと、舞奈は挨拶をしながら上がり、今朝見た景色と変わらないリビングに通された。

 「舞奈、荷物はこっちにおいて、ソファーに座ってて」

 「はい」

 舞奈は大河に言われた場所に荷物を置きソファーに座って、キッチンでコーヒーを入れる大河を待つ。

 「はい、どうぞ」

 「ありがとうございます」

 大河は二人分のコーヒーを机に置き、舞奈の隣に座る。

 舞奈は大河の入れてくれたコーヒーに口を付けながら、先ほどから続く沈黙に少し居心地が悪くなってきていた。

 けれど、きっと大河から話してくれるだろうと、舞奈は色々聞きたい事を口にせずに、待った。

 「さて」

 大河は一口コーヒーに口を付けると、おもむろに口を開いた。

 「さっきの質問なんだけどね」

 「はい」

 舞奈は、先ほど車で聞いた事を話してくれるとわかり、カップを置き横にいる大河を見つめた。

 すると、舞奈を見つめていた大河と瞳があった瞬間、大河がいつの間にか後ろに回していた腕で舞奈の腰を引き寄せた。

 「え?わっ!」

 行き成り引き寄せられた舞奈は、少しだけバランスを崩し大河に寄りかかる様な形になってしまったが、大河は気にせずに話始めた。

 
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