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その瞳に…
第29章 大人と子供
 舞奈は、どんな経緯で知り合いになったのか、ドキドキしながら大河の返答を待ったが、当の大河はあっさりと答えた。

 「ああ、大学の先輩なんだよ」

 「・・・・・・・・・へ?」

 大河の趣味が趣味なので、そういったサイトで知り合ったり、栄子絡みで知り合ったのかと思っていた舞奈は、大河の回答に呆気に取られた。

 「大学って・・・え?先生、どんな大学行ってたんですか?」

 ポカンとした表情を浮かべる舞奈に、大河は苦笑する。

 「僕は東京にある、XX工業大学だよ。名前くらいは聞いた事あるだろう?僕はそこの理科部に行っていたんだけどね。その先輩とは、研究室で知り合ったんだけどね。調度二人とも出身がこっちだったから気があったんだ」

 大河の出身大学は、名前くらいは聞いた事があるだろう?と言うレベルではなく、TVでCMもやっている偏差値の高い大学だった。

 流石に、分野違いなので舞奈はその大学が理系に強いんだろうとしか、わからないが、それでも大河がそんなに頭の良い大学を出ていたのに驚いた。

 「先生、なんでそんなに凄い所行ってて、なんでこっちに戻って教師なんかに?」

 大河なら他になれる職業は沢山あったのではないかと、舞奈は思った。

 しかも、東京の大学に行ったのだから、大抵の人間はそちらで就職をする。

 舞奈達が住んでいる所は、お世辞にも都会とは言えず、東京からみたらド田舎と言われる場所である。

 なので、就職もこちらより東京の方が圧倒的に多かったはずだ。

 「ああ、僕はね大学時代バイトで家庭教師をしていてね、教える事が好きになったんだ。だから、併用して教育免許も取ってね。まあ、こっちで就職した理由は、あっちは教師があまっているのもあるんだけれど・・・」
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