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第30章 ＳとＭ

　腕の中で小さくなり俯く舞奈に、大河はどんどん嗜虐心が刺激される。

　きっと今の舞奈は羞恥心で一杯なのが、目に見えて解る。

　けれど、それすらも舞奈は快楽に変えるのだろうと思い、大河はけして抱きしめた腕を解くことなく、言葉だけで更に欲情させる事を選んた。

　「舞奈、僕は質問しているんだ。ご主人様の問いかけにはちゃんと答えなさい」

　そっと、耳元で囁くとフルっと舞奈の体が震えるのが解る。

　「・・・ち、違いま、せん」

　大河に命令された舞奈は、少し躊躇うも、たどたどしい小さな声で答える。

　その返答に、大河はクスリと笑いを零しながら、確認する様に再度囁いた。

　「僕とＳＥＸしてから、君は自慰行為をしても、満足していない、と言う事だよね」

　舞奈の体は、ピクリと小さく反応し、握り締めた手で口元を押さえながらも、コクンと頷いた。

　「そう。先輩はね、そうやって閉じ込め、縛り、囁きながら、痛め、焦らし、一気に快楽を与え、相手を堕としていくんだ」

　（あ・・・！）

　大河の言葉一つ一つを想像してしまった舞奈は、ゾクゾクゾクっと体を震わせる。

　それは、自分が望み、大河が、自分にしてくれた事だからだ。

　きっと大河は自分が欲情しているのが解っているのはずで、体の震えも、上がる体温も、早まる鼓動も全てその腕に伝わっている。

　しかし、それでも話を続けると言う事は、今この状況を愉しんでいるからだ、と舞奈は思った。

　（なんか、悔しい・・・）

　大河に支配されたい感情はあるが、それでもまだ素直になりきれない部分が残っていた舞奈は、頑張って落ち着こうと体に力をいれ、話に集中するようにした。