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その瞳に…
第33章 冬の空
 「そっか・・・だからこんなに澄んで見えるんだ」

 確かに、夏には入道雲があるし、厚い雲と濃い青空が夏のイメージだけれど、冬は薄い雲と澄んだ青空のイメージ。

 それが、湿度だけでこんなに変わって見えるのは、とても不思議だと思う。

 「私、どっちの空も好きだなぁ」

 両手で空を仰ぎながらポツリと呟くと、大河はそう?ともう一度空を見上げる。

 「僕は冬の方が好きだね。夏は暑いのが苦手なのもあるけれど」

 熱いのが苦手と言う大河に、舞奈はクスリと笑いを溢す。

 「なんか、凄くイメージ通りです。先生が日焼けした状態とか想像できません」

 フフフっと楽しそうに笑う舞奈に、大河は少しだけ眉間に皺を寄せる。

 「確かに、僕は日焼けしない体質だけれどね。これでも、泳ぐのは好きで、昔はしょっちゅう海に行ってたんだよ」

 舞奈達が住んでいる場所は、海がとても近く、海水浴場等にはなっていないため、地元の人間しか泳がない。

 舞奈も、中学生時代までは良く夏になると絵麻達と泳ぎに行っていた。

 「私も良く行ってました。高校に入ってからは行ってないですけど」

 雪音にはプールの授業がない。

 しかも、高校に入ってからは夏は短期のバイトをするようになり、自然と海へ行く事がなくなっていた。

 「じゃあ、来年にでも泳ぎに行こうか。水着は僕が選んであげるよ」

 来年。そう言われ舞奈は嬉しくなる。

 それは、一年後も舞奈と付き合っていてくれることで、それが自然と大河の口から出たことが嬉しい。

 「はい!約束ですよ?」

 とても嬉しそうに微笑む舞奈に、大河はとても優しく微笑んだ。

 「ああ、約束だ」

 その言葉に、舞奈は更に嬉しそうに微笑む。

 (今日の約束絶対忘れないでおこう)

 満天の星空を眺めながら、舞奈はそう、心に刻んだ。


 


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