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その瞳に…
第34章 楽しい夜
 「じゃ、カンパーイ!!」

 成滝の音頭でいきなり始まった宴会に、舞奈はとまどいながらも、オレンジジュースが入ったグラスを傾ける。

 テーブルにはワインと相性が良さそうな料理が並べられ、あれだけお腹が一杯だと思っていた舞奈は、それを見たとたんお腹が空くのを感じた。

 (私、どんだけ食いしん坊なんだか・・・)

 そう思いながらも、舞奈は美味しい料理を頬張り、頬を緩ます。

 それを見ていた成滝はグラスを傾けながら、舞奈に問いかける。

 「舞奈ちゃん、美味しい?」

 「はい!すっごく!!」

 舞奈の答えに、程よくお酒が回ってきている成滝はとても嬉しそうに笑い、舞奈の頭を撫でる。

 「舞奈ちゃんはほんとかわい~な~。なんで大河なんかに引っかかったんだか」

 「お前に言われたくない」

 くしゃくしゃと舞奈の頭を撫でる成滝の手を、大河はベシっとはらいながらも特に怒っている表情ではなく、むしろ楽しんでいるように舞奈は感じた。

 「ね、ね。舞奈ちゃんこれ見て~」

 人一倍ペースを上げて飲んでいた栄子が、ほんのり顔を赤くしながら手招きする。

 舞奈はそちらに移動すると、お預けにされていた卒業アルバムが開かれていた。

 「これ、高校時代の英樹と大河!わっかいよね~」

 ケラケラと笑いながら集合写真を指差す栄子の横で、先ほどお預けをくらっていた舞奈は瞳をキラキラさせながらアルバムに食いつく。

 (学生服の先生も超かっこいい!!!)

 口には出さず、心の中でテンションを上げながら舞奈は高校時代の大河に見入る。

 そこには、自分と同じくらいの大河が、勉強し、友人と笑い、楽しそうに写り、舞奈は言いようの無い気持になる。

 (今よりも笑い方が幼し、なんか可愛い~!!)
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