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その瞳に…
第34章 楽しい夜
 頬に両手を当て、成滝は女性の様にクネクネする。

 大河はそれを見て、もう諦めたのだろうか、深いため息をつき黙々とワインを飲みだした。

 「でもこいつさ、性癖とか色々めんどくさくって。俺的にはちゃんとこいつを理解してくれる子がいるのかな~って心配だったんだよ」

 で、も!っと成滝は舞奈を見つめて、ニカっと笑い。

 「やっとこいつがベタ惚れする子が出来て俺は嬉しいんだよ。しかも、舞奈ちゃんもそっち系じゃん?や~ホント良かった良かった!!」

 成滝は上機嫌にベシベシと大河の背中を叩く。

 一方、舞奈はとある事に気がつき、一瞬にして全身から血の気が引き、真っ青になる。

 (そう言えば・・・)

 グラスを持つ手がカタカタと振るえ、目の前で楽しそうに笑う成滝や、迷惑そうな顔の大河の顔がかすむ。

 (そうだよ。どうして私、こんな大事な事今まで忘れてたんだろう・・・)

 「・・・舞奈?どうしたんだい?」

 舞奈の変化に、逸早く気がついた大河が舞奈の顔を覗き込むが、舞奈は自分の愚かさに泣きそうな瞳で大河を見つめる。

 「・・・先生・・・あの・・・」

 舞奈の震える声に、周りの大人は心配そうな表情を浮かべるが、舞奈はじっと大河を見つめた。

 「私の、性癖・・・皆さんに、バレて、るん、ですよ、ね・・・?」

 途切れ途切れに問いかけた言葉に、大河は少し目を丸くするが、すぐに表情を戻す。

 「それは、そうだよ。というか、一緒に栄子の店に入ったし、そこで色々買い物しただろう?」

 今更?とでも言いたそうな大河の表情に、舞奈は今度は一瞬にして全身を真っ赤に染め上げ、ガバっと両手で顔を覆い、テーブルに伏せる。

 (いやーーーーーーーー!!!!!!)

 
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